御 題2026の御題「明」
伝書の第七巻『妙空紫雲極秘の巻』には 「日 東に出る頃 月は西に残り 両気相和して空に紫の色を顕す」 とあり、古来、禁色として重んじられてきた紫色を、陰陽和合の色と教えています。 明け方の空の色は、目に痛いような眩しさではなく、心の奥に静かに光が差し込んでくるような、清らかな明るさではないでしょうか。 かへり見すれば月かたぶきぬ (万葉集巻一・柿本人麻呂) 天空のドラマとも言える壮麗な景色ですが、この歌は単なる叙景ではなく、草壁皇子から軽皇子への天皇位の継承を寿ぐ祝歌でもありました。紫雲たなびく東天に、人麻呂は新しい時代の希望を見出したのかもしれません。本年も、同門の皆さまと共に明るい前途を展望したいと希います。 旧嵯峨御所 嵯峨御流華道総支所 華務長 辻井ミカ
![]() 「花材」枝若松、アブライト、アンスリウム、ドラセラ・サンデリアーナ、千両 「花台」銘「六合」 |