私は平成13年1月、生まれて初めて文楽を鑑賞しました。
この時頂いたチラシを紹介します。
国立文楽劇場からご観劇の皆さまへ
文楽の魅力−人形浄瑠璃「文楽」ご鑑賞のお勧め−
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃は、国立文楽劇場の各種事業に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
いよいよ21世紀という、この歴史的な時を迎えるにあたり、私たちも古典芸能、とりわけ地元大阪で生まれ、庶民の手で育まれた「文楽」の普及振興に、一層の努力をいたす所存でございます。日本の誇るべき宝として、また世界でも類の見ない偉大な芸術として評価される人形浄瑠璃「文楽」は、道頓堀に竹本座の櫓を上げて300年、創始期からは実に400年という歴史を重ね、現代にいたっております。
ご存じの通り「文楽」は、大夫・三味線・人形の三業が一体となってつくる演劇です。
大夫が語る義太夫の優れた文学性、高い音楽性・芸術性、太棹三味線の豪快な響き、三人で遺う人形の高度で繊細な表現力、また人形の首やかつら・衣裳のもつ精緻な工芸性、そして、舞台装置・照明・音響効果が複合して作り出す独特な劇場空間の美しさ…こうした演劇としての構成美は観るものを圧倒させます。加えて、文楽の舞台は、長い年月をかけ厳しい修行によって技芸を身につけた大夫、三味線、人形の三業が、緊密に共同しながらも常に緊張感を持ちつつ、つくりあげています。このような骨太で厳格な取り組み方こそが、文楽が今日まで続き、また21世紀で世界に向かって歩み出す力の源泉といえましよう。
昨年度、当劇場において「文楽」をご覧いただいた方々は、年間のべ10万人でした。残念なことではありますが、これは大阪市の人口の5%にもなりません。舞台芸術とは、観てくださるお客様がいて初めて成立するものです。お客様がいなければ、どんなに素晴らしい舞台であっても存続し、発展することはできないのです。だからこそ、大阪で生まれ育ったこの「芸能の宝」をもっと多くの方々に観ていただき、21世紀にはさらに多くの人々に支えられる「文楽」にしたいというのが、私たちの願いであります。
ご来場の皆様には、ご観劇の感動をどうか一人でも多くの方々にお伝えしていただき、ファンの輪をさらに広げていただければ幸甚に存じます。
今後とも、皆様のあたたかいご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
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